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其之弐拾陸☆弐
住居表示って?(2/6)
2006年(平成18)2月2日


(2)もともとは土地の番号

明治時代のはじめ、ときの法務局は土地の所有者を明確に登記するために、
字図(あざず・地図)を作りました。
その字図につけられた整理番号が土地番号です。
実は、この土地番号は土地にではなく所有者に与えられた番号でした。
よって、その土地に住んでいる人が移転したら、その人の番号ごと移動するのです。
そして、空いた土地には新しく入ってきた人の番号がつきます……。
となると、たとえば土地番号12番の隣が274番で、反対隣が4352番だったり……と、もう番号はグチャグチャです。
また所有者は、土地そのものを自由に分けたり合わせたりすることができます。
すると、いつのまにか土地番号には多くの枝番や飛び番、欠番が生じます。
つまり土地番号の住所には、一定の法則もなく、かなり漠然としたものになるのです。
さらに、境界線はゴチャゴチャと入り組んでいたり、広さも統一性がなく形もメチャクチャだったり。
なもので、同じ土地番号の中に、たくさんの建物が建っていたり、
ひとつの建物が、幾つかの土地番号にまたがったりすることも珍しくありません。
そんな土地番号(地番)ですが、現在でも住居表示を実施していない場所での住所として、日常的に使われています。

(3)誰が何のために

では住居表示を実施するとして、誰が何のために番号をつけたのでしょう?
もともとの土地番号の住所は、たとえば『長崎町1427番地34』のような書き方をします。
「1427番地」はもちろん土地の番号。「34」は枝番号などです。
土地番号の場合、広い範囲でたくさんの建物に同じ番号がつくことになります。
もし、このような場所で何か災害等が生じたら、緊急車両の行き先の照合に手間取り、到着が遅れてしまいます。
また、同じ地番に同じ名字の人が何人もいると、郵便物などが正確に届きにくくなります。
……などなど、行政事務や郵便、電報の配達、集金などの業務に支障をきたしていました。
そこで地方公共団体郵政省が、土地番号とは別に番号をふりました。
いわば便宜上の整理番号が、住居表示による住所なのです。
住居表示が実施されると、住所も『長崎町5番12号』とか『長崎2丁目5番12号』となります。
番号は原則に従って、区画や建物ひとつひとつに付きます。
「5番」はひとつの区画につく街区番号、「12号」はひとつひとつの建物につく住居番号です。
土地番号よりも細分化され、煩雑密集した建物が並ぶ住所をも簡潔化し、
建物には合理的で規則性のある番号が、順序よく付けられるのです。
その結果、整然とした町が作りだされ、はじめての訪問でも、正確に目的地にたどりつけることができようになります。
分かりやすい町づくりをしていく上では、住居表示は欠かせないようです。
でも、たまに整理しすぎて、古来からの由緒ある町の名がなくなったり、
ただ単純に、機械的に番号を付けられるだけで、味も素っ気もなく割りふられてしまう場合もあるようです……。
ということで現在、住所は土地番号の数字から住居番号で表わす数字に、少しずつ変わってきています。
ただし、住居表示が実施されたとしても、土地番号はなくなりません。
土地そのものを特定する、不動産の所在を表わすときに用いる数字はあくまでも土地番号なのです。
その不動産登記などは、法務局で管理しているようです。


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