幸徳秋水リスト年表への扉
     幸徳秋水全集(全9巻・別巻2)に収録されている全作品・全書簡を年表風にまとめました


     幸徳秋水の全集とは  ブログ「埼玉考現学」2013年11月10日付
     いま、ないしょで幸徳秋水の全集から「著作リスト年表(仮)」を作っています。
     「幸徳秋水全集」は本編9巻に、別巻2巻と補巻1巻があります。
     昭和43年3月から48年11月まで、5年8か月かけて発行されました。

     全集の内容は、1巻から6巻までが新聞や雑誌に発表された作品集。
     発表した紙誌別に、発行年月日の順にまとめられています。
     7巻に明治40年代に発表した翻訳3編が、8巻に評伝や編纂、漢詩が収められ、9巻は日記と書簡がまとめられています。
     別1巻が幸徳の生涯にかかわりをもつ21人の回想録、別2巻には演説草稿、年表、著作目録などがまとまります。
     そして補巻は、幸徳の生涯を追い、また大逆事件に連座した被告人の写真集になっています。
     全9巻と別巻がB6判、補巻がA4判の大きさです。

     写真集の補巻を除いて、本編9巻と別巻2巻に収録された作品を抜きだし、発行した順番に年表を起こすことにしました。

     全集から抜きだす  ブログ「埼玉考現学」2013年11月12日付
     幸徳秋水の作品は、ほとんどが新聞や雑誌の掲載です。
     書籍での発行は20に届きません。
     全集9巻の本編のうち1巻から6巻までが、新聞や雑誌に発表された作品で占められます。
     市立図書館で1巻から順番に2冊ずつ借りました。

     まずは目次から作品タイトル、収録紙誌名、紙誌発行年月日を年表の基本データとして写します。
     さらに、本文ページから作品タイトル、文末にある収録紙誌名号数発行年月日署名所収などを詳しく抜きだします。
     抜きだしたデータは、目次の基本データに合体させます。
     8巻まで機械的な同じ作業の繰り返し。
     根気のいる作業は、いちおう、これでできあがりとなります。
     ただ、ところどころで目次の記載と本文末の記載に違いがあり、注釈を加えました。

     9巻、別1巻、別2巻は何もすることないかなと思いながらページをめくりました。
     ところがどっこい、さいごの最後の別2巻に著作目録があったのです。
     そこで目次と本文末をあわせた基本データに、著作目録のデータを付け合わせることになりました。
     すると、ここでも表記の食い違いを発見。
     目次、本文末、著作目録と3つ個所で示されたデータが、それぞれに違うのです。
     けっこう見つけてしまいました。
     いったい、なにが正しいのでしょうか。
     なにを信用したらよいのでしょうか。
     分かりません。

     全集を修正する  ブログ「埼玉考現学」2013年11月13日付
     別2巻の著作目録のなかには、全作品リストのほかに「長広舌」と「平民主義」に収録された作品のリストがありました。
     「長広舌」「平民主義」は、幸徳が新聞や雑誌に発表した作品から選びだし整理してまとめた論説集です。
     「平民主義」のリストには、2編の漢詩と4編の書簡が含まれています。
     漢詩と書簡を見くらべて、本編9巻に収まる300有余の書簡を「著作リスト年表(仮)」に加えることにしました。

     全集の作品を見ると、紙誌に連載された作品には「〇月〇日発行の第〇号〜〇月〇日発行の第〇号」という表記しかありません。
     となると、そのあいだ、いつの号に載り、いつの号に載っていないのか、細かな1日1日が分からないのです。
     そこで、掲載された日を開いて、すべて記すことにしました。
     なかには「千代田毎夕」のように掲載号が分からない紙誌があります。
     また、掲載紙誌そのものが不明で、どうすることもできないデータもありました。

     目次データ、本文末データと著作目録の食い違いを、実際の紙誌面で確認し正そうかと思います。
     これから先、いくつかのの掲載分に関しては、追々県立図書館で調べていきます。
     「萬朝報」「團團珍聞」「週刊平民新聞」「直言」「光」「日刊平民新聞」
     「大阪平民新聞(日本平民新聞)」「世界婦人」「週刊社会新聞」など。

     公共図書館の本が・・・  ブログ「埼玉考現学」2013年11月16日付
     「幸徳秋水全集」の補巻は「大逆事件アルバム=幸徳秋水とその周辺=」となっています。
     幸徳の誕生から処刑までの生涯と、大逆事件に連座した被告人を追ったA4判の写真集です。

     ページをめくりました。
     構成としては一部を除いて、上4分の3が写真で占められ、下4分の1に1段20文字で28行の文章があります。
     その文章を読もうとして、びっくりしました。

     

     公共図書館が所蔵する本。
     これでも、ほんの一部です。
     個人の所有物ではありません

     同じ本を県立図書館で見つけました。
     ページを確かめました。
     きれいです。
     気持ちよく見ることができました。

     ずさんな編集!?  ブログ「埼玉考現学」2013年11月17日付
     幸徳秋水の全集は本編9巻に、別巻2巻と補巻1巻が昭和43年から48年まで、5年8か月かけて発行されました。
     今回の「幸徳秋水著作リスト年表(仮)」は、主に4つのデータから抜きだし、付け合わせて作っています。
      ▽全集1巻から6巻までの目次データと本文末データ
      ▽別2巻の著作目録
      ▽著作目録中の「長広舌」「平民主義」のリスト
      ▽9巻の書簡集
     ただ、これまでにも書いてきました。
     それぞれに書いてある記述が違っているのです。
     もう、なにが正しいのか、なにを信用したらよいのか分かりません。
     編集上の関係で、括弧書きの副タイトルを省いています。
     旧漢字や旧かな遣いを当用漢字や現代かなづかいに直しています。

     でも、例えば収録した紙誌の発行日や号数が違っていたり。
     同じタイトルなのに、タイトルそのものが違ったり、読点があったりなかったりしているのです。
     どうすれば、ここまで違って記述できるのでしょうか。
     歴史に名を残した著名人の全集なのに残念でなりません。
     編集委員の名を見ると、その世界ではかなり有名な方々のようです。
     なのになぜ、ここまで違ってしまったのか、自分の目を疑ってしまいます。
     全12冊の全集を作るのに5年8か月かかったから。
     言い訳にもなりません。

     間違えるなら、同じに間違ってくれればよいのに。
     目次、本文末、著作目録、それぞれ別々に違っていると余計にややこしくなります。

     たとえば、全集の9巻には300有余の書簡が収められています。
     そのうち全集では、岩波文庫の『基督抹殺論』に所収がある書簡は17通あるとしています。
     でも、実際の岩波文庫版『基督抹殺論』を見てみると違っていました。
     巻末の「獄中消息」には24通の書簡と1通の補遺、計25通が紹介されているのです。
     文庫には収録されているのに、全集では8通の記述もれがあることになります。

     ちょうど県立図書館で幸徳の作品が載った新聞の縮刷版を見ていたときのことです。
     さらに上をゆく間違いを発見してしまいました。
     全集の目次、本文、著作目録は同じ記述で、違いはありませんでした。
     でも、実際の作品が載った縮刷版では違っていたのです。
     3つのデータが同じだから間違っていない、あっていると信じていたデータが、ほんとは違う
     ここまで発見してしまったら、やはり・・・・。
     おおもととなる幸徳の作品を掲載した実際の紙誌を、すべて確認しなければならないのでしょうか。
     ゆうに1500をこえているデータ全てを見直さなければいけないのでしょうか。
     でき得る限り少しずつ修正していきたいと思います。

     はじめは単純に「まとまれば、ちょっとした資料になるかな」くらいに思っていました。
     でも、全集のたくさんの誤りをみつけ、新たな気持ちで、しっかと取り組んでいかなければと再認識しました。

     「幸徳秋水リスト年表」完成ス  ブログ「埼玉考現学」2013年11月25日付
     ついに「幸徳秋水リスト年表」が完成しました。
     全部で1536項あります。

     これまでの「初期社会主義年表」は2年8か月かけて、こつこつと2229事象になりました。
     対して「幸徳秋水リスト年表」は、いっぺんのアップで1536の作品をまとめています。
     慎重さがより重要になります。

     いまの段階で、すでに「明治社会主義資料集」と国会図書館のデジタル資料をもとに若干の修正を加えています。
     「明治社会主義資料集」は実際の新聞の縮刷版7紙
     「週刊平民新聞」「直言」「光」「日刊平民新聞」「大阪平民新聞」「週刊社会新聞」「世界婦人」から
     収録作品を探しだし全集の記述と付け合わせです。
     また国会図書館所蔵のデジタル化資料より、関連する書籍の奥付の表記から発行年月日や発行所を修正しています。

     のちのち「(黒ヌキ四角)」からはじまる食い違いを、修正して「(赤ヌキ四角)」に正していきます。
     (おしまい)


     〈基本資料〉
     幸徳秋水全集 第3巻 (第1回配本) 昭和43年3月15日
     幸徳秋水全集 第4巻 (第2回配本) 昭和43年6月20日
     幸徳秋水全集 第5巻 (第3回配本) 昭和43年9月12日
     幸徳秋水全集 第6巻 (第4回配本) 昭和43年11月30日
     幸徳秋水全集 第7巻 (第5回配本) 昭和44年1月30日
     幸徳秋水全集 第9巻 (第6回配本) 昭和44年12月10日
     幸徳秋水全集 第1巻 (第7回配本) 昭和45年5月30日
     幸徳秋水全集 第2巻 (第8回配本) 昭和45年10月13日
     幸徳秋水全集 補巻  (第9回配本) 昭和47年4月20日
       大逆事件アルバム=幸徳秋水とその周辺=
     幸徳秋水全集 第8巻 (第10回配本) 昭和47年6月20日
     幸徳秋水全集 別巻1 (第11回配本) 昭和47年10月30日
     幸徳秋水全集 別巻2 (第12回配本) 昭和48年11月30日
          幸徳秋水全集編集委員会・編、明治文献・発行

     〈参考資料〉
     「社会主義神髄」 幸徳秋水 岩波書店(文庫) 昭和28(1953)年2月
     「基督抹殺論」 幸徳秋水 岩波書店(文庫) 昭和29(1954)年9月
     「兆民先生・兆民先生行状記」 幸徳秋水 岩波書店(文庫) 昭和35(1960)年7月
     「麺麭の略取」 幸徳秋水 岩波書店(文庫) 昭和42(1967)年6月
     「帝国主義」 幸徳秋水 岩波書店(文庫) 平成16(2004)年6月
     「明治社会主義史料集 第1集『直言』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和35(1960)年10月
     「明治社会主義史料集 第2集『光』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和35(1960)年12月
     「明治社会主義史料集 別冊第1『世界婦人』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和36(1961)年6月
     「明治社会主義史料集 第4集『日刊平民新聞』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和36(1961)年10月
     「明治社会主義史料集 第5集『大阪平民新聞』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和37(1962)年1月
     「明治社会主義史料集 第6集『週刊社会新聞 第1』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和37(1962)年3月
     「明治社会主義史料集 第7集『週刊社会新聞 第2』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和37(1962)年4月
     「明治社会主義史料集 別冊第3『週刊平民新聞 第1』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和37(1962)年10月
     「明治社会主義史料集 別冊第4『週刊平民新聞 第2』」 労働運動史研究会 明治文献資料刊行会 昭和37(1962)年11月
     「労働世界」 労働運動史料委員会 労働運動史料刊行委員会 昭和35(1960)年8月
     「『新佛教』論説集補遺」 二葉憲香 永田文昌堂 昭和57(1982)7月
     「大逆事件記録第2巻 証拠物写」 大逆事件記録刊行会 世界文庫 昭和47(1972)年1月
     「大逆事件記録第3巻 証拠物写」 大逆事件記録刊行会 世界文庫 昭和47(1972)年1月


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