写真はすべて当日撮影



長崎に移り住んで20年弱。
原点に帰ろうと、忘れてしまった初心を取り戻そうと思い、
長崎市内の主要観光地をめぐる、定期観光バスに乗りました。
長崎にきて初めての体験です。

ガイドさんの説明など、コースは初心者の方々にも充分に満喫できるよう、設定されています。
でも、観光バスに乗る人のほとんどは市外の人、観光で来られる方々だと思います。
長崎県内、特に市内に住む人は、まず、あまり利用しないでしょう。
いつでも行けるからと、なかなか足を向けないまでも、
長崎市民の日々の生活のなかに、観光施設やスポットがたくさんあるのです。

現在、観光バスには2つのコースがあります。
市内中心部をめぐる〈長崎よかとこコース〉が1日2便。
もうひとつ、外海方面をまわる〈そとめ潮風コース〉は、
土曜・日曜・祝日や夏休みなど、期間を限定して運行しています。

すでに、待合所には数組のお客さんが待機しています。
高鳴る胸を抑えながら、バスに乗り込みました。車内には若者からご年配まで、男女あわせて23人。
親子づれの外国人の姿もありました。
幅広い層のお客さんです。お昼12時、バスは長崎駅前を発車しました。





長崎駅前で発車を待つ市内定期観光バス。
この先、市内主要観光スポットを4時間15分でめぐります。

バス正面、右上の車両案内板にはコース名が。



原爆資料館の入口には
日本語、英語、中国語、韓国語で書かれています。
正面は長崎市立歴史民俗資料館(旧長崎市立博物館)。
左下には国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館の窓が見えます。



地下駐車場でバスを降りて階段をのぼったら…なんと…。 平和祈念像横にでてきました。



長崎の鐘は33回忌の1977年(昭和52)7月20日に建立。
動員学徒や女子挺身隊など原爆殉難者の冥福を祈ります。
長崎刑務所浦上刑務支所は爆心地に最も近い公共の建物です。
刑務所内にいた134人全員が即死しました。



永井隆氏が晩年を過ごした如己堂。(車中より)
さくらが見事な浦上天主堂。(車中より)



山王神社の一本柱鳥居。(車中より) 復元された思案橋の欄干。(車中より)


一本柱鳥居を過ぎたあたりから、ガイドさんは永井隆氏の作品「この子を残して」の一節を朗読、
続けて「長崎の鐘」を歌う。長崎駅前近くで、うたい終わると乗客から拍手が沸き起こりました。


崇福寺の山門。(車中より) ふたつ先が眼鏡橋。(車中より)


なんとなくですが、どこに、それぞれの車中見学の場所があのるか分かっていました。
なもので、どうにか、それぞれにシャッターチャンスを逃さず、撮ることができました。


長久橋の上からです。中島川沿いの白い塀の向こうが出島。
右に長崎国際テレビ、左に十八銀行本店が見えます。

出島の復元は、短中期計画の第2段階まで完了しました。



出島にマンホールの蓋が! でも、復元でないはずです。 オランダ坂。(車中より)



孔子廟の正面に建つ大成殿。 大成殿の奥には中国歴代博物館があります。



孔子の弟子72人の賢者。向かって左側のうちの9人です。 孔子の弟子72人の賢者。向かって右側のうちの10人です。



中国で赤、橙は縁起のいい色です。
クレーンも事故が起きないように赤と橙。

 どこまでも、バスガイドさんの後をついていきます。




大浦天主堂では、おごそかに結婚式が催されていました。
大浦天主堂からグラバー園に向かう途中、
懐かしい砲弾型消火栓がありました。



グラバー園の入口にある球です。 1863年(文久3)に建てられたとされる旧グラバー住宅です。



旧グラバー住宅前から湾口に女神大橋が見えました。 旧グラバー住宅前から正面に見える稲佐山です。



旧グラバー住宅前にあるハートストーン。
残念ながらガイドさんからの説明はありませんでした。
もうひとつのハートストーン。
伝統芸能館に向かう途中、無料休憩所前にあります。




グラバー園下の駐車場にて。ツーショットです。
午後4時28分、定刻より若干遅れて、長崎駅前に到着。
べつにパトカーに呼びとめられたわけではありません。

ツアー参加者全員に配られるバッジ。
これを付けていれば、ひと目で分かります。




平成8年の市内定期観光バスの一覧です。
1日に約1時間ごと、12便も走っています。
昼食や夜食がついていたり…観光船の港内遊覧があったり…
ロープウェイにのって山の頂上に行ったり…夜の夜景ツアーがあったり…
豪華絢爛なコースがいっぱい組まれていました。

しかしながら、乗客の数が少なくなるなど
いろんな要因がからみ合って便数は減少。
現在、定期的に走るのは〈長崎よかとこコース〉の1日2便のみ。
平日にはごくまれに、乗客がなく運休することもあるとか。
東京では、観光バスを見直そうという動きもあるようですが、
地方によって衰退の一途をたどるのは、寂しい限りです。

長崎市民にとってバスが走るコースは、
いつも過ごしている街の風景、すべてが見なれた景色です。
でも、ちょっと見方を変えると、様相は違ってきます。
ご一緒する人たち、ガイドさんの案内…不思議なもので、
環境がひとつ変わるだけで、まるで別世界、
たくさんの再発見ができるのです。

久しぶりに、市民でありながら地元観光を満喫しました。
初心に戻って、新鮮な気持ちで観光地をめぐり、
忘れていたモノを、思い出したような気がします。









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