【プロローグ】
▼公共交通機関のひとつ路面電車の車内で、路上観察の写真展示を企画しました。
開催期間は2002年(平成14)12月15日[日]から2003(平成15)1月14日[火]までの1か月間。
▼写真展のタイトルは「藤城かおる写真展『長崎の…2』知ってから乗るか…知らないで乗るか…」。
長いため、何がメインタイトルなのか主催者自身、首を傾げます。
▼実は、2001年(平成13)10月20日[土]と21日[日]に、
長崎市のイベント「長崎さるこーで〈第一歩〉」と併催して、
史跡・出島和蘭商館跡内ヘトル部屋で、藤城かおる写真展「長崎の…」をしました。
で…、今回はその2回目。第1部を路面電車で催し、
第2部は3月15日[土]から4月14日[月]まで、長崎市コミュニティバス『らんらん』の車内で開催。
▼路面電車内に掲げた写真は、窓上の横額面10箇所に2点ずつ20点、
車両中央入口横の液晶画面「アドムーブ」に21点、52個の吊り革に表裏あわせて104点の計145点です。
▼ただ、写真を展示する電車は1両だけ。その車両が、いつ、どこを走るのかは、まったく誰にも分かりません。
電車を運行する長崎電気軌道では、主に4つの系統を運転しており、一応のダイヤは決まっています。
でも、渋滞などで遅れた場合は、その都度、走る路線を変えていくといいます。
▼写真展の目的としては、より多くの人々に見ていただきたい思いがありました。
その方法として、公共交通機関を選んだのです。
たとえば展示する会場へは、見たいという目的をもって足を運びます。
もちろん見に行った人にしか、見ること、感じることは出来ません。
しかし公共交通機関の場合は、利用する不特定多数の人々の目に触れることになるのです。
ただ、写真展のチラシに「見たいんだけど、見られない…見たくないけど、見てしまう…」とあるように、
利用する全ての人々が見られるわけではありません。その1両に乗りあわせる可能性は、かなり低いでしょう。
その車両が、その日に走っているかどうかも分かりません。
長崎電気軌道の車両保有台数は75両。単純にその確率だけでも75分の1となります。
待てど暮せど…、ということも有り得ます。
と…、いうわけで意外性をも兼ね備えたスペースでもある、公共交通機関で企画を立ち上げました。
▼公共交通機関の車両内で写真展示をするにあたり、市の広報課を通じて記者発表をさせていただきました。
また内容が内容だけに、珍しいからか、マスコミの反応もよく、期間中にテレビ局5局、新聞は3紙から取材を受けました。
ただ広報が出来たのは県内だけ。県外での広報が出来なかったのが、心残りでなりません。
▼今回の写真展をきっかけに、より多く公共交通機関の利用者が増え、また何かの足がかりになればと考えました。
▼文書をまとめるに当たり、かかわった人たち全て、実名にて登場していただいています。
悪巧みなど毛頭ありません。個人や企業を誹謗中傷するつもりもありません。
かかわった全ての人たちに支えられてできた写真展なのですから。
また、登場していただいた人名や企業名、肩書き等は全て開催期間中のものです。
協力/長崎路上観察学会アルキメデス、
長崎市広報課、
長崎電気軌道株式会社(本文内では「電鉄」と略)
【その1】いつのまにか写真展はじまる
2002年(平成14)
▼11月30日[土]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●出島屋プロダクション発行のタウン誌「ナイト長崎12月号」『イベントコネクション』に記事。
▼12月01日[日]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●HP「uhi's photo」にチラシ画像付の写真展紹介ページが管理人・浦川ひろのぶ氏の好意により設置。
同HP内の掲示板BBSに写真展案内の書き込み。以降、数回書き込みをし、管理人他のレスがかなり続く。
▼12月02日[月]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●長崎市・広報課を通じて記者発表。長崎新聞、毎日新聞、NBC長崎放送が来席。
●KTNテレビ長崎・中川一義氏、NBC長崎放送「UPるToday」他、NHK長崎放送局・堀佳織氏、
NCM長崎ケーブルメディア・実藤英子氏に出向きそれぞれ売り込み。
●梅沢武秋氏のHP「梅さんの音楽時代屋」内の掲示板BBSに写真展案内の書き込み。
▼12月04日[火]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●赤瀬川原平氏にチラシと案内状を郵送。
▼12月05日[木]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●長崎新聞に文書のみの記事。
●東京の岩間氏、松原秀行氏、藤代裕雄氏にチラシと案内状を郵送。
▼12月06日[金]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NHK長崎放送局、夕方の「がまだせ5」に生出演。まだ電車は走っておらず、展示される写真の説明のみ。
本番より、リハーサルの方が断然によく喋った。リハーサルが本番だったらよかったのだが…。
▼12月08日[日]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NIB長崎国際テレビ「ひるじげドン」、NCC長崎文化放送、KBC九州朝日放送「ドォーモ」、
西日本新聞、読売新聞長崎支局にそれぞれパソコンよりメールにて売り込み。
▼12月09日[月]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●東京の高橋敏昭氏にチラシと案内状を郵送。
▼12月10日[火]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NBC長崎放送・斉藤礼子氏よりTELで「万屋TV」の取材打ち合わせ。
●東京の利根川陽子氏よりパソコンにメール受信。「頑張ってご活躍の様で何よりです。
これからも益々ユニークな写真を貴方なりの視点で撮り続けて下さい」(11時51分)
▼12月11日[水]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NBC長崎放送「UPるToday」にてチラシのみの告知。
▼12月12日[木]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●毎日新聞にデータのみの記事が掲載。
●NBC長崎放送「万屋TV」の収録が玉園町・聖福寺周辺にて行なわれる。
▼12月13日[金]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●同僚が、偶然にも写真展示電車1204号(カラー電車「東京アカデミー長崎校」)に乗車。
いつのまにか写真展が始まっている。
●存じ上げない中尾千草氏?よりパソコンにメール受信。
「写真を電車の中の掲示板?みたいなのでみました!何かすごくいいですね!」(11時51分)
●なんと主催者がまだ知らない、見ていない、乗っていないにもかかわらず、いつのまにか電車が運行されている。
主催者より先に、お客さんが知っている、見ている、乗っている。え〜っ!うそ〜っ!? なんで、なんで〜!
…なんか不思議な感じがしてならない。でも、まぁいい。それでいい。
《後日談》車内展示は本来、1日前からリハーサルとして掲げられるらしいが、
電鉄の好意で2日前から展示していただいていた。
▼12月14日[土]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●仕事で赤迫方面に赴いた帰り、たまたま赤迫〜銭座町を1204号に乗り合わせる。
展示期間前にもかかわらず、主催者本人が写真展電車に初乗車。
我ながら得した気分。液晶画面の動く画面が面白い。
【その2】1日中電車の中で
▼12月15日[日]写真展初日――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NBC長崎放送「万屋TV」にてオンエア。
「今日は1日中、藤城さん本人がスキンヘッドで電車に乗っているそうです。恐がらず一声かけてあげて下さい」
●朝6時32分、電鉄にTEL。もう「電車は6時半に浦上車庫をでて正覚寺下に向かった」とのこと。
●朝7時前、1日乗車券・5百円を購入。
長崎駅前かもめ広場にて煙草をふかしながら、正覚寺下から折り返してくる1204号を待つ。
…と。と、1204号は目の前をあっというまに乗降客のない電停を赤迫へ向けて通過。
日曜日の朝、道は空いており、人もまばらでゼロに近い状態。スムーズに運行されていた。
予期していなかった突発事件だ!すぐさま駅前からタクシーで後を追う。
恥ずかしいが運転手に「あの電車を追いかけて下さい」と告げる。電車を追い抜く。
どこで乗り込むか…考える。駅前から赤迫方面は、当分、電停が横断歩道上にある。
タクシーを降りて赤信号のうちに、1204号が目の前を通り過ぎたら困る。
そこで横断歩道を渡らなくてすむ、歩道そのものの上にある浜口町でタクシーを下車。
出費が痛いが、どうにか1204号に乗り込む。
●日曜日の朝の早いうち、お客は自分を含め3人。乗降客もほとんどない。
●昼前、長崎新聞・写真部の森慶太氏が乗り込み車内を撮影。車内は揺れているから撮りにくそう。
●主催者・藤城が勤務する会社社長・田島徳子氏と妻・堀直子が乗り込んでくる。
●NIB長崎国際テレビからTEL。「電車に乗っていて…、あまり喋れない…」…。
と、10数分後、とつぜんNIB長崎国際テレビ・島田啓子氏他が乗ってきた。取材を車内で受ける。
●車内にて長崎新聞のTEL取材。
●NCM長崎ケーブルメディア・実藤英子氏よりTEL「取材は年明けにします」。
《後日談》実際、取材は公共交通機関で写真の展示「第2部・らんらん」にて行なわれた。
●車内にて若いカップルから「藤城さんですか」と声をかけられる。「万屋TV」を見て乗車したという。
声がかかる直前、2人はジャンケンをしている。どちらが声をかけるか決めていたのだろう……。
●夜21時半、正覚寺下にて運転士に、これからの予定を聞くと「あとは、そのまま浦上車庫に入るだけ」。
…ということで1204号を下車。1日完全乗車は終了!
●ふだん気がつかないが、車内では、親と子、中学生どうし、20代くらいのカップル、老夫婦など、
喜んだり、怒ったり、笑ったり、悲しんだり…いろいろなドラマが繰り広げられていることに気がつく。
●同じような青色系の広告電車が別に3両ほど走っているが、多分見間違いはないだろう。
それぞれの車両は一目瞭然。見た目からして違うのだから…。しかし何も知らなければ、みな同じかもしれない。
●結局、朝7時から夜21時半まで14時間半、赤迫〜正覚寺下間11往復半の乗車。バカみたい!
〈片道1回1百円として11往復半、23回の乗車で実際の運賃2千3百円が1日乗車券で5百円〉
●『食べられない』『飲めない』『吸えない』『出せない』『出られない』の「5ナイ写真展初日」となる。
●夜明け前の暗いうちから電車に乗り込み、日が昇り、日中、そして日が沈み夜半まで。
長い長い丸1日乗車。しかしながら、あっという間の1日だった。
●この日の運行は最初から最後まで、まるまる1号系(赤迫〜正覚寺下)を走った。
●電車内にて携帯電話を何回も使用してしまったことをお詫びします。ゴメンナサイ。
【その3】年の瀬の電車内
▼12月16日[月]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●電鉄、経営企画調整室・永川吉弘氏と事業部・山田和子氏に前日の1日中乗車を伝える。笑われる。
●NBC長崎放送・佐藤利恵氏とTELで取材打ち合わせ。
《後日談》「第1部・電車」「第2部・らんらん」ともに都合がつかず取材はなかった。仕方ない。
●NCC長崎文化放送よりTEL。
●田中裕子氏より携帯TELにメール受信。
「今朝藤城号(電車)に…。乗った!のではなく反対車線を通り過ぎるのを見ました(泣)
『あ、あれなのに〜』と見送る事のなんと寂しい事よ…。まだ始まったばかり。頑張ります!」(21時39分)
●田中裕子氏へメール返信。
「あの〜『藤城号』、その言い方、いただいてよろしいでしょうか。
使わさせていただいてよろしいでしょうか。ぜひ、使いたい!」
●西日本新聞よりTEL。夜、末次洋介氏より取材を受ける。
●インターネット・検索サイト「Google」で「藤城かおる」を検索したところ1件ヒット。
「NCC長崎国際テレビ」HP内の長崎市町村PRサイト「よかとこ@ながさき.com」にデータのみの掲載。
▼12月17日[火]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●長崎新聞地方版カラー面に電車内の写真と記事が掲載。
●NCC長崎文化放送よりTEL。近々TVで紹介するとのこと。しかし出演はせず。で、放送はいつ?
●太田克巳氏よりパソコンにメールが入る。
「正覚寺〜駅前だけでしたが、乗ってきました。今日は1番か3番かわからんかったけど、
『絶対1番や!』と思い正覚寺で待ってたら、運よく10分位で藤城号に乗ることが出来ました」(15時42分)
▼12月18日[水]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NIB長崎国際テレビ・島田啓子氏と偶然に会い、先日、放送したとのこと。
キー局・日本テレビのCS有料放送では全国放送されたとか…。でも見ることは出来なかった。
●名前もわからぬ見知らぬ女性??から、なんと携帯にTEL。
「電車に乗って面白かったから、話を聞いてみたかった。(略)
これからも頑張って下さい」(13時53分)。ウソのようなホントの話。
●川上真樹氏より携帯TELにメール受信。「写真展電車に乗りました!」(19時25分)
▼12月19日[木]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●田中裕子氏より携帯TELにメール受信。
「藤城号使用可!(笑)あれからまったく出会いません〜(泣)」(11時05分)
以降、写真展示電車1204号を「藤城号」と名付ける。
●KTNテレビ長崎・中川一義氏、平山滋子氏よりTELで取材打ち合わせ。
●NBC長崎放送「UPるToday」中原氏よりTELで取材打ち合わせ。
●同僚・坂本恵子氏の高校生の娘さんいわく
「朝、通学のときに使う電車が、2日続けて同じ時刻に来たのが『藤城号』だった」。
たぶん運用上、同じスジ(ダイヤ)に組み込まれたからであろう。
▼12月20日[金]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●ザ・ながさき発行のタウン誌「ザ・ながさき469号」『ART』コーナーに記事。
●アイランズ2・赤岩州五氏(東京)、郷土出版社・折井克比古氏(名古屋)にチラシと案内状を郵送。
●浦川ひろのぶ氏のHP「uhi's photo」内の掲示板BBSでトピックが長くなり
「電車みつけた!」「乗った!!」「え、なになに??」などの専用レスが設けられる。
▼12月23日[月・天皇誕生日]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●テレビ局の取材が2件あり、祝日でもあり必ず走るものと思ったが、
なんと「藤城号」は定期検診で走らずじまい。でも「藤城号」と1週間ぶりの対面だ。
●午前、KTNテレビ長崎「もぎたてGopan」の取材、収録。
浦上車庫に出向き、お客さんのいない、停まったままの「藤城号」車内にて収録。
●つり革の写真は、どのくらいの人が気づくかという話になる。
「では、前には何がはまっていたか知ってる?」と平山滋子氏に尋ねたが「分からない」と。
やはり、そんなもんなのだろう。主催者本人でさえ、気にも留めていなかったのだから。
●午後、NBC長崎放送・徳永陽子氏と取材、収録。
「UPるToday」内のコーナー『街が美術館!?(歴史散歩)』に路上観察、街あるきの取材。
ピンポイント物件の西坂と大学病院へ。
浜口町〜築町間を電車で移動中、混んでいる営業運転中の電車内でインタビューをうける。
徳永氏自身初体験だとか。しかしオンエアにのらず。
路上観察物件探しの徒歩散策(築町〜館内町〜西小島〜寄合町〜丸山公園)
●浦川ひろのぶ氏のHP「uhi's photo」内の掲示板BBSにNaorinさんの書き込み。
「なんかね、街の女子高生が話してたんだけど、藤城号に乗り合わせると、
しあわせになるんだってさ。ほんと?」(15時58分)。果たしてその真相は?
▼12月25日[水]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●KTNテレビ長崎「もぎたてGopan」内『今日のいちばん』にてオンエア。
●KTNテレビ長崎HP内「もぎたてGopan」の週間曜日別内容の25日(水)付「今日のいちばん」に
「今日は…知ってから乗るか、知らないで乗るか…路面電車の写真展」と紹介される。
しかしインターネットの検索サイトからはヒットができず。主催者名もなく、週末までの運命で残念々々。
▼12月26日[木]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●田中裕子氏より携帯TELにメール受信。
「今日は出勤時と今と二回も『外だけ藤城号』見ました(泪)」(12時15分)
●再び田中裕子氏より携帯TELにメール受信。「ちなみに朝→3番、昼1番でしたよ。」(13時21分)
●「藤城号」が3号系・赤迫〜螢茶屋をも走っていることを知る。
▼12月27日[金]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●西日本新聞地方版カラー面に電車内と本人の写真入り記事が掲載。
記事中「…作品そのままのゲリラ的活動はまだまだ続きそう…」と
「…実験的な写真展…」とのフレーズが気にいる。
▼12月28日[土]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●公会堂前にて諏訪神社方面より桜町方面へ曲がる3号系「藤城号」を自分の目で確認。
▼12月29日[日]写真展、折り返しの日曜日―――――――――――――――――――――――――――――――――
●春雨交差点(観光通電停)を走る1号系「藤城号」を確認。
●主催者自身「藤城号」は見かけるだけで、なかなか乗れない。主催者のいない写真展。
車内はどういう状況なのか、はたまたお客さんがどういう反応を示しているのか知りたい…。
【その4】大晦日、回送になる
▼12月31日[火]大晦日――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●昼13時02分、電鉄にTEL。「電車は13時に浦上車庫をでて正覚寺下に向かった」とのこと。
●1日乗車券・5百円を購入。
13時22分、前回の失敗もあり、今回は駅前高架広場・歩道橋上で「藤城号」をキョロキョロ待つ。
●13時42分、1号系・赤迫行「藤城号」に乗車。
●15時10分、赤迫の手前にて「藤城号」の前に1号系の1303号、後に同じ1号系の365号がいることに気がつく。
●15時15分、運用の都合上、「藤城号」は回送になり、赤迫から浦上車庫へ。そのまま同乗させてもらう。
●もう一度、営業運転に出して欲しい…たくさんの乗客に写真を見て欲しい…
と、電鉄・運転課配車係の担当者にうかがう。
申し訳なく話しをするが、こちらの意向を分かっていただいており、
「出してもいいよ」と言ってくれて、「藤城号」は営業運転に戻された。
●15時31分、「藤城号」が浦上車庫から3号系・赤迫行で出庫。赤迫にて1号系に変更される。
長崎駅方面でなく赤迫へ車両を持っていけば、運行状況で1号系、3号系の、どちらにでも変更できるのだ。
●田中裕子氏とのメールのやりとり。
15時52分、いま「藤城号」に乗車していると携帯TELよりメールにて伝える。
16時09分、受信「あ藤城号!思案橋バス停にいますよ!」
16時12分、返信「折り返したら乗る?」
16時12分、受信「乗りたいのに乗れない!三景台行きバスを待ってるんです!」
16時13分、受信「手をふります〜!」
田中裕子氏はバス停にて、手をふっている。「藤城号」よりふり返す。
●17時08分、長崎駅前で「藤城号」が正覚寺下に向かい、折り返し戻ってくるあいだ下車。
トイレ、軽食、煙草いっぷく…17時37分再乗車。
●赤迫18時06分発が、ついに3号系・螢茶屋行となる!桜町、公会堂前、諏訪神社下を通り螢茶屋へ。
3号系「藤城号」に晴れて初乗車!感動!
●赤迫20時28分発、また1号系・正覚寺下行になる。
●20時48分、長崎駅前で「藤城号」が正覚寺下に向かい、折り返し戻ってくるあいだ下車。
トイレ、軽食、煙草いっぷく…21時12分再乗車。
●赤迫21時28分着「藤城号」は予備車に。ホーム奥に入れて、後から来た1号系、3号系を先に発車させる。
●赤迫21時40分頃「藤城号」客を乗せて発車待機。どうにか発車できそうだ。
しかし1号系・赤迫着の車両が来たため、「藤城号」は客を乗せたまま、いっときホームから本線に出す。
あとから来た1号系・赤迫着をホームの奥に入れ、「藤城号」はホームの手前に戻る。
奥に入った1号系・赤迫着は回送になる。そして「藤城号」は21時45分、1号系で発車。
まるで、「藤城号」を営業運行させるために操作をしているかのようだ。
●22時50分「藤城号」赤迫着、のち回送になる。…ということで「藤城号」を下車。
1年の終わりの大晦日、半日完全乗車は完了。
●赤迫22時59分発2号系(赤迫〜大波止〜西浜町〜螢茶屋)の1507号で西浜町へ。
大晦日の夜だからか、混んでる。駅前からさらに混む。
●結局、13時42分から22時50分まで9時間12分、終点〜終点でないにしても回送を含め8往復の乗車。
〈片道1回1百円として8往復、17回(うち1回は回送)の乗車で実際の運賃1千6百円が1日乗車券で5百円〉
●この日の「藤城号」は混むこともなく、乗客ほとんどが座っていられる状態。
たまに立ってる人は2〜3人程度。さすが大晦日!
●半日の乗車だったが、いろいろと体験した。
※隣に座る女性二人組、横額面の写真を見て、ウケてる。盛り上がってる。
しかし話しかける勇気がない。情けない。
※就学前の子供を連れている夫婦。母「あっ、これ車内で初めての写真展。ニュースでしてたよ」。
父は子供を肩車し、疲れているのか「・・・・」。
※二つのつり革をいっぺんに持っている若い男性がいる。
座っている女性と話しているが、つり革にはまったく気づいていない。
●Q・12月31日発行の1日乗車券で1月1日未明に走る初詣電車に乗ることはできるのでしょうか?
A・大丈夫です。そのまま乗っていてかまいません。ただし1日始発からの電車には乗れません。
●「藤城号」は、はたして初詣電車になったのだろうか?分からない。謎のまま。
【その5】年の初めの雪
2003年(平成15)
▼01月01日[水・元日]――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●年の初めの1月1日。「藤城号」は、いったい、どうしているのだろうか。我が子のように心配。
でも走っていたら、初詣でのお客をたくさん乗せて走っていることだろう。
▼01月02日[木]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●インターネット・検索サイト「Google」で「藤城かおる」を検索したところ2件ヒット。
既存の「NCC長崎国際テレビ」HP内、長崎市町村PRサイト「よかとこ@ながさき.com」に加え、
浦川ひろのぶ氏のHP「uhi's photo」内にチラシ画像付の写真展案内ページが新たに加わる。
▼01月03日[金]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●街に出て知人と合う。数人から年末年始に「乗ったよ」「見たよ」と反応がある。
▼01月04日[土]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●雪の中、ほとんど線路沿いの街あるき
[古町〜中央郵便局〜大波止(夢彩都)〜浜市アーケード〜駅(アミュ)〜古町]。
途中、1201号(電鉄標準色)、1202号(カラー電車「九州急行バス」)、
1203号(カラー電車「JCBカード」)は確認するが、肝心の1204「藤城号」は見当たらず。
●1200形は5両のはず。にもかかわらず1205号がないわけ…。
写真展示車両は、初め1205号の予定でした。
しかし浦上車庫にて下回りのエンジン部や座席シート等の改造を開始。(後述)
改造に遅れが生じ、急きょ通常運用中の1204号(カラー電車「東京アカデミー長崎校」)に変更。
だから1205号は浦上車庫の中。
●田中裕子氏より携帯TELにメール受信。
「『藤城号』西浜町通過。1番。私はバスの中(泣)」(14時52分)
ということは、「藤城号」は走ってはいたのだ。
▼01月05日[日]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●14時03分、古町の4階の自宅から何気なく窓を開け、雪がコンコンと降る外を見下ろす。
と、な、な、なんと偶然にも! 螢茶屋へ向かう「藤城号」!
15分くらい後、ころ合いを見計らって、螢茶屋から折り返してくる「藤城号」を見ようと、再び窓を開けた。
と…な、な、なんと5号系「藤城号」!(5号系/螢茶屋〜石橋)なのだ。
ということは、さっきのも5号系かもしれない。
その「藤城号」を見下ろすと、まるで「もっと乗ってくれよ〜!」と、寂しそうに懇願しているかのよう。
しかし今日は予定が別にあり、乗れない。ゴメン。
▼01月08日[水]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●1月13日[祝]に、最初で最後の「藤城号」乗車会の開催を田中裕子氏と決定。
橋のぶひろ氏と浦川ひろのぶ氏にも声をかける。
▼01月10日[金]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NBC長崎放送「UPるToday」内『街が美術館!?(歴史散歩)』にてオンエア。
内容は電車写真展もさることながら、街あるきが重要視。
●松島雪氏より携帯TELにメール受信。
「やっと藤城号乗れました。しかも今日うちから街までの行き帰り、どっちも偶然!
すごくおもしろかった。高校生や大学生っぽい女の子たちも楽しんでたよ☆」(23時28分)
話に聞くだけでも嬉しい。
▼01月11日[土]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●電鉄、経営企画調整室・永川吉弘氏を訪ねるため観光通で電車待ちしていたら、なんと偶然にも「藤城号」。
●電鉄に問合せあり。
「写真展の開催を聞き、ぜひ見てみたいのだが、入院中のため見ることができない。
でも14日前には退院するから、乗るときは、どこを走っているか教えて欲しい」とのこと。
ぜひ乗っていただきたいものだ。できることなら感想もお聞きしたい。
《後日談》問い合わせはなかったらしい。ということは乗られなかったのだろう。
●13日の「藤城号」乗車会を永川氏に伝え、確認していただいたところ…
定期(一週間ばかりの定期検査)だとか、清掃・給油のため車庫入りだとか、情報が錯そうしている。
写真展期間中、最後の連休にもかかわらず車庫入りになるらしい。仕方ないことかもしれないが…残念至極。
【その6】最初で最後の乗車会
▼01月13日[月・成人の日]――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●午前中、電鉄・運転課へ「藤城号」運行の確認TEL。「16時以降、定期(検査)が終り次第、出庫」とのこと。
実際、丸1日の休みでなく、ホッとする。
●今日は楽しい「藤城号」の「乗車会」だ〜!
●15時38分、長崎駅前のキオスクにて1日乗車券を購入し、浦上車庫前に向かう。
今回で3回目、毎回、同じ売店で購入したが、毎回、同じことを言われる。
「降りるとき、運転士さんに見せて下さいネ」。まるで観光客に懇切丁寧に説明しているかのようだ。
やはり1日乗車券を買うのは観光客だけで、あまり長崎もんは買わない…のかもしれない。
●15時52分、電鉄・運転課配車係におもむき「藤城号」出庫の予定を聞く。
「4時以降、許可がおり次第、出庫させる」とのこと。
●16時03分、1号系・赤迫行で車庫よりでてくる。
●橋のぶひろ氏にTEL。「赤迫を折り返してきたときに浜口町から乗車する」とのこと。
●浦川ひろのぶ氏にメール送信、のち「1番なら築町に着いたら、またメールちょうだい」と受信。
●16時06分、浦上車庫を1号系・赤迫行で発車。しかし赤迫にて3号系・螢茶屋行に変更される。
途中、浜口町で待つ橋氏への連絡はヨシとして、浦川氏に変更を連絡すると「公会堂前で乗る」とのこと。
橋氏は浜口町にて乗車できず。間に合わなかったようだ。
●浦川氏、公会堂前(乗車)→螢茶屋(折り返し)→公会堂前(下車)。
●橋氏、浜口町(乗車)→赤迫(折り返し)→螢茶屋(折り返し)→長崎駅前(下車)。
●橋氏、つり革のひとつ、片面に写真がないことに気がづく。何故ないのか?
●橋氏と別れた後、長崎駅前で「藤城号」が螢茶屋に向かい、折り返し戻ってくるあいだ下車。
トイレ、軽食、煙草いっぷく。再乗車。
●田中裕子氏とのメールのやりとり。
13時35分、送信「今日の『藤城号』、定期検査のため浦上車庫を出るのは、午後4時過ぎになります。
系統は不明です。宜しくです」
16時13分、送信「いま1番で浦上車庫を出て赤迫へ向かいました。よろしかったら、ぜひ!」
16時18分、受信「…仕事に出てきたんでムリっぽいです(泣)…」
17時52分、送信「仕事、何時までですか。もし終わったとき、メールいただいて、
自分がまだ電車に乗っていたら、すぐメールを折り返しますけど…。
今日は、いちおう最後まで『藤城号』に乗っているつもりです。
これまでに浦川くんと橋くんが同乗しました」
19時37分、受信「あの〜九時とかでも走ってますか?」
19時45分、送信「車庫に入るのが、いつか分からないけど、ずっと乗っているから。
終わったらメールちょうだい。どこを走っているか、お知らせします。
もし『藤城号』が先に車庫に入るようだったら連絡しますね」
…
20時56分、受信「今どの辺りの何番ですか?」
20時58分、送信「3番、浦上駅前から長崎駅へ向かって進行中!」
21時03分、受信「よっしゃー!桜町で待ち伏せ!!」
21時05分、送信「いま駅!がんばれ!!」
数分後、桜町到着。ホームに田中裕子氏が待っている。念願の乗車となる。桜町(乗車)→螢茶屋(下車)。
田中裕子氏、螢茶屋にて折り返し発車待ちの間、展示写真を見ながら、カメラ付携帯電話に収めている。
田中裕子氏とともに「藤城号」とお別れ。螢茶屋を後にする。
●田中裕子氏とのメール交換で、早く打たなければ、電停を通り過ぎる恐れがあり、指がフニャフニャで痛い。
●「藤城号」は、このまま最終まで走り続けていたらしい。
●いろいろとお世話になった浦川ひろのぶ氏、田中裕子氏、橋のぶひろ氏の3氏が、
ともに開催期間中ギリギリ、1人1人別々にだが念願の1204「藤城号」に乗車してもらうことができた。
※ちなみに、たびたび登場する田中氏は、数限りなく「藤城号」を見ている。しかし一度も乗車できなかった。
※ちなみに橋氏はこの1か月間、一度も「藤城号」を見られず…ということは乗ることもできなかった。
●この日の「藤城号」。当たり前のことだが、混むときは混んでおり、空いているときは空いていた。
※男性ばかりの若者6人組、みな座って上を見ており、写真を見ているのかと思ったら中ヅリ広告だった。
岩屋橋で下車直前に窓上の写真に気づく。もう少し早く気づけば、もっと盛り上がったかもしれないのに…。
※若い女性2人組、立って窓上の写真を口をポカンと開けて写真を見入っている。
電車の振動で体がガクッとなり、我に返る。
※主催者が液晶画面の真下に座っていると、正面のカップルが頭上の液晶画面にくぎ付けになり笑っている。
困ることはないのだが、こちらの目のやり場に困る。
※窓上や液晶画面など、若者たちは見て、素直に笑っている。
でも年輩の人は、口を「へ」の字にして顔色ひとつ変えない。
周りの目を気にしているのだろうか? 素直に笑って欲しいものだ。
●結局、16時06分から21時15分頃まで約5時間、終点〜終点でないにしても5往復の乗車。
〈片道1回1百円として5往復、10回の乗車で実際の運賃1千円が1日乗車券で5百円〉
●浦川ひろのぶ氏のHP「uhi's photo」内の掲示板BBSに浦川氏自身の書き込み。
「藤城電車!!いえーい。3番だったせいもあり、空いていてゆっくり見ることができました。
液晶画面では通常広告が流れているんだろうけど、この1204号では藤城さんの写真がタイトル付きで、
ぺろーんぺろーんと流れていきます。きれいっす。偶然乗ったおばさんとかも、じーーーーっと見てました(笑)
なんかやっと宿題を提出したような気がします」(19時37分)
【その7】写真展終わる
▼01月14日[火]写真展最終日―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●写真展最終日、「藤城号」がどういう状況で1日を終えたかは計り知れない。
たぶん無事に役目は果たし終えたであろう。
▼01月15日[水]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●浦上車庫にて1204号・旧「藤城号」車内の展示写真の撤去作業をする。
※横額面は、スライド式に横にズラせばスッと取り外せるからよい。
だが、つり革は、小さなネジを特別なドライバーで外さなければならない。細かい作業だから、ひと苦労。
●車庫の奥に、初め写真展電車になる予定だった1205号がいる。ということは、まだ改造の真最中なのだろう。
いったい、いつになったらお披露目されるのだろうか? 近々、復帰するという噂も…。
▼01月27日[月]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●写真展が終わってから約2週間が過ぎた。以来1204号、旧「藤城号」には出会っていない。寂しい感じがわき立つ。
と…、会社からの帰宅途中、偶然に公会堂前にて1204号と出会う。夕闇に明るい車内が目立つ。
と…、入口扉脇の液晶画面に、まだ写真展の名残り、21枚の写真が引き続いて写りだされているではないか!
展示期間は過ぎているのに、乗客の眼を楽しまさせてくれている。嬉しい!
《後日談》なんと、電鉄のご好意で、液晶画面の写真のみ特別に展示していただいていた。
▼01月29日[水]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●存じ上げない高見かおる氏?よりパソコンにメール受信。
「すいません。私は市内に住む26才の会社員です。昨日、市内を走る路面電車の中で、藤城さんの作品を見ました。
【駐ラクダ場】や【木の縫い目】の写真、好きです(^^) 思わず『プッ』と吹き出してしまいました。
(^^; 一番好きなのは、球体のオブジェに映る風景を撮った写真です。
(ごめんなさい、タイトルを忘れてしまいました。)
【ああ、こういう見方もあるんだなぁ。】って、なんかしみじみ考えてしまいました。
でも、どの作品もとても興味をひかれました。
これからも素敵で面白い写真を沢山撮ってください。それでは…。」(17時47分)
展示期間後の液晶画面を見て送られてきた。残されていた写真のお陰である。
▼01月31日[金]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●NBC長崎放送・千々和直子氏。「1月14日以降、いつだったか偶然に1204号に乗車した際、
まだ液晶画面の写真展だけが残っていて、ゆっくり見ることができました」
▼02月23日[日]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●諏訪神社前にて、3号系を走る「藤城号」になるはずだった1205号を確認。
車体や下回りがピカピカ。シートに龍踊りらしい模様がついている。
▼03月10日[月]―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●1205号が2月19日[水]より営業運転を開始していることを知る。
改良の目的は車両性能や安全性・快適性の向上とメンテナンスの軽減。改良箇所は以下の通り…
(1)利便性・車体外側、入口脇方向幕の視認性を改善、大型化。
(2)利便性・車内、吊り革の形状を丸型から三角型に変更。
(3)利便性・車内、座席シートに龍踊りキャラクターのデザインを施す。
(4)制御装置を変更し車両起動時の振動を軽減。
(5)運転台にワンハンドルのマスコンを設置し操作性の改善。
(6)台車・主電動機を変更し、2割のパワーアップで走行性能を向上…。
【まとめ】
展示期間内、主催者が1204「藤城号」に乗車、走行確認したのは延べ10回、( )は期間外
☆偶然乗車…………………………………2回…(12月12日[木])、1月11日[土]
☆問合せの上乗車(1日乗車券購入)…3回…12月15日[日]、12月31日[火・大晦日]、
1月13日[月・成人の日]
☆車庫内乗車………………………………2回…12月23日[月・天皇誕生日]、(1月15日[水])
☆走行確認…………………………………3回…12月28日[土]、12月29日[日]、1月5日[日]
実際の開催日数31日間のうち8日間は、乗ったり見たりしている。だいたい4日に1日くらいのペースか。
1日乗車券を購入しての乗車は3回。3回の総乗車時間は28時間半。1回平均9時間半も乗っていたことになる。
終点〜終点でないにしても回送を含め24往復半の乗車。
片道1回1百円として24往復半、50回(うち1回は回送)の乗車で実際の運賃は4千9百円。
1日乗車券は5百円、3回分で1千5百円。4千9百円が1千5百円!
しかし3日間で49回、1日平均にして16回も電車に乗る人は、たぶん未来永劫いないだろうな。
【エピローグ】
▼「藤城号」に乗りたくても、なかなか乗れない、田中裕子氏のような人は、どのくらいいたでしょうか。
見たいのに乗れなかった人たちには「申し訳ない」と謝るしかありません。
でも、それもまあ偶然のなせる技です。運命とあきらめるしかないでしょう。
閑話休題。ある日ある時、特定された「藤城号」を不特定の電停で待ち、
1両も乗り過ごさないで、すぐに乗れる確率は、どのくらいの割り合いでしょうか。
答えを求めるのは、非常に難しい。というか、たぶん不可能でしょう。
車両総数75両、39の停留所、4つの系統、…などが、複雑にからみあっています。
さらに定期検診などで、車庫から一歩も出ない日もあるのです。
また季節、平日と日祭日、時間帯、天候…など、もう訳が分かりません。
機械的に、数値上だけでも答えはでないものか、と試行錯誤しましたが、出せるはずありません。
それこそ「待っても来ない」「待ってなくても来る」偶然のたまものなのです。
いつ、どこを走るのか、どの電停で待っていれば、すぐ来るのか、まったく誰にも分かりません。
しかしながら、タネを明かせば、今回の写真展は企画モノ。
ということで電鉄のご好意により、「藤城号」の運行を、主に1号系(赤迫〜正覚寺下)にしていただきました。
だから長崎駅前から赤迫までの間で待てば、来る可能性は高くなります。
とはいっても、時たま別の系統を走る場合もありましたが…。
▼写真展を企画して気づいたことが、ひとつあります。それは電車の利用頻度の問題です。
極端な話、毎日のように通勤通学の足として使う人もいれば、
生まれてこのかた、一度も乗ったことがない人もいるということ。
ある日、仲間と話しをしているうち、写真展の話題となりました。
その中の1人が「一度も電車に乗ったことがない」と。初め自分の耳を疑いました。信じられませんでした。
しかし、生活圏内に電車が存在しない限り利用することはありません。目的がなければ乗ることもないのです。
公共交通機関は好きで乗るモノではなく、必要に応じて乗るモノ。なるほど、その通り。当たり前のことです。
▼つり革を除く写真1点、1点に写真展タイトルとそれぞれのキャッチコピーを付けました。
他に携帯電話番号とパソコンのメールアドレスをはめ込みました。べつに売名行為をしたかったわけではありません。
あるのは、もしかして展示写真を見て、何かを感じてくれた方から、ナマの声が届くのではないか?
という希望的憶測の思い込みだけです。結果、イタズラは1件もありませんでした。
携帯電話に1件、パソコンのメールに2件、計3件のお声をいただきました。
身も知らぬ人と話すなんて、とても勇気のいることでしょう。自分にはとても出来ません。
しかし、あえて声をかけ、励ましてくれた3氏に心から感謝します。ありがとうございました。
また開催前から浦川ひろのぶ氏、田中裕子氏、橋のぶひろ氏、妻の堀直子には色々と助言をいただき、お世話になりました。
さらに写真展開催に当たって、つたない企画に賛同していただいた長崎電気軌道をはじめ、
取材していただいたマスコミの方々、他、多くの方々に、当方の身勝手な我がままを聞いていただき、
多大なご迷惑をかけしてしまいました。
▼さてさて、予想外に開催が遅れてしまった公共交通機関で写真の展示の
第2部「長崎市コミュニティバス『らんらん』」の巻。
どうにか3月15日[土]から4月14日[月]まで、無事に催すことができました。
「らんらん」バスは、全部で4台。松が枝営業所に在籍しています。うち営業運転をしているのは、1日に2台のみ。
1台は予備車。1台は乗務員交代用に使用しています。その4台に、それぞれ違う写真の展示をしました。
となると、全ての写真を見るには、4台に乗らなければなりません。でも1日に写真を見ることができるのは2台。
もう2台は、別の日に乗ることになります。で、別の日に乗ったら、前と同じバス…ということも有り得ます。
だから、これまた意外性が…というか、またまた無謀な企画だったかもしれません。
▼では、路面電車やバスの車内には、いったいどのような写真を掲げたのか…内容の問題です。
別に出し惜しみをしているわけではありません。今回は、あえて写真の内容は言及しないようにしました。
あくまでも目的は写真展であり、写真展の動向にのみ重視した、ということで許して下さい。
下の「写真展の風景」から入ると、自作のチラシや写真展の写真などを見ることができます。
また実際に写真展を見た方々の感想などから、思い馳せて下さい。
写真展の写真
写真展の風景
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