其之拾弐
獣姦事件
2003年(平成15)11月20日


その拾壱に続いて、長崎に関する新聞ネタをもうひとつ。
1892年(明治25)09月29日付の朝日新聞の記事を要約してみた。
〈……大浦の俗称シヤシヤ部屋の商店主は、1匹の愛を残したまま帰国した。
6月上旬、長崎居留地の某商会に勤める英国人が、23歳の婦人を30円の約束で、
自宅に連れ帰り、その
を引き入れ、厳重な戸締まりをした上、淫をさせた。
7月上旬、今度は19歳の婦人を連れ帰り同衾ののち、
15円の約束で再び獣行をほしいままにした。
しかし婦人が帰宅後、英国人から預かった封筒を開けると、わずかに3円。
この婦人は恥を忍んで醜辱事件を明るみにした。たちまち伝播し大問題となる
……〉
(朝日新聞社発行「朝日新聞100年の記事にみる奇談珍談巷談(上)」より)
以上のような事象が、長崎、いや全国を賑わした。
また大阪滑稽新聞、1909年(明治42)07月15日号には
〈……数年前、神戸の外国人がその愛のために、狐のお豊という女性に金を与えて
煩悩の
の獣慾を満足させようとして、女を気絶させたため、大問題を惹起した……〉
(柏書房発行「明治妖怪新聞」より)
とある。
たとえば2つの事象は、
もともと同じ場所でのひとつの事象が、
噂とともに分かれてしまったのか。
それとも、もともと別の事象なのか…は分からない。
共通項として、
ともに時代は明治時代。舞台は海外との貿易港。
そして外国人が仕掛けたということ、だ。

▼さて、ここで安易にも、ちょっと問題提議。
はたして人間の女性との雄との性行為が可能なのか。
結論を言ってしまえば、不可能に違いないだろう。
の場合、雌は特有のフェロモンを発する。
その匂いに対して雄は発情するだけらしい。
だから、人間の女性に対しての雄は見向きもしない。
人間の女性とは、性行為はできないということだ。

人間の場合、性行為は、生殖のためだけでなく快楽をも伴う。
しかし動物の性行為は、生殖のためだけのものといわれる。
根本的に違うようだ。
雌が発したフェロモンを感じない限り、雄は性行為をしない。
それが本能なのかもしれない。

問題提議はしたものの
「火の無い所に煙は立たぬ」という諺(ことわざ)があるように、
実際の行為は抜きにして考えても、
何がしかの要因があって新聞記事になったのでは、
と考えるのが妥当ではなかろうか。
それが何かはわからないが……。

(注)この事象は年表にはアップしておりません。


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